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2005.03.12

大槻能楽堂自主公演(3月11日・金)

大槻能楽堂まで自宅から1時間半
ここの自主公演、今年は7回全部金曜日の夜。
「勤め帰りの人も楽しめるように」ということだとか。

“お能だけ”なら大丈夫かな?!
6時始まりだから、残業なら無理だね。

私は土日の公演には行けない。
その両日が勤務日のパートだから。
なので、
このシリーズの予定を聞いた時、もう嬉しくてしようがなかった。
確実に今年は7回以上、お能が観られる!

今日は「藤戸」
シテは多久島利久さん。
もちろん初めて。
あらすじは知っていた。
地味で悲しいお話。

『源氏の武者、佐々木盛綱が、この“藤戸”の関を渡って
平家を攻める時、土地の漁師に浅瀬を案内させ、その後秘密を
守るために殺して、海に流した。
戦が終わって彼はこの地を賜り再び藤戸にやってくる

そこに漁師の母が現れ、子をなくした悲しみを語り、自分も
殺して欲しいとかき口説く。
盛綱は母に漁師を殺した時のありさまを包み隠さず語り、
彼の魂を慰めようと盛大に弔う。

その夜(だったのだろうか)漁師の亡霊が現れ、
命を召された時の情景をのべ、辛い思いを語る。
恨みは尽きないが、あとの弔いにより成仏できた、
と合掌して消えていく』

この曲には舞が少ない。
(お囃子と舞だけ、ということがない)
問答ですすみ謡がつなぐ。
普通のドラマに近いのだ。

1時間20分を、長いと思わなくなった自分が可笑しいけれど、
慣れるというのはえらいもので、
中入までは長いが、後シテが登場すると、終わりは近い。
そこまでの時間を「耐える」のではなく
「残念、あと少しか!」と思えるようになった。

多久島さんが良かったのだ。
声も良かったし、姿も感じがよかった。
大槻は親しい場所だから、安心して舞台を観ていられるのが
心地よかったということもある。

ワキの福王さん、地謡のかたがた、知った顔も多く、
鼓の曽和さん、笛の左鴻さん、
アイの松本薫さんもおなじみ。
目馴染み、耳馴染みって大事だ。

亡霊が持っている杖は、ただ持っているだけでつくことはない。
その杖が刀となって、我が身が刺される場面と、
最後に合掌した彼の手から音立てて杖が落ちる、
二つの光景が記憶に残る。

(予習はいつも白州正子さんの本でする。
こんなにお能をわかりやすく語ってくれる人はない、
と思っている。
本に左右されていることがないとは言えないが、お能を
知り尽くした人だけに、ふと気持が舞台に吸い込まれる場面は
何故か本に紹介されているとおりなのだ)

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コメント

こんにちは、こりまさん。柏木です。
こんなblogも持ってらっしゃるのですね(^^)
詳細なレポートが載っていて、楽しいです。
また覗かせていただきますね。

投稿: 柏木ゆげひ | 2005.03.16 21:18

いらっしゃいませ(汗)
TEAROOMに続く“テラス”という気分で
好き勝手に書いております。
ちょっと細々したものは、ここにございますので
またお越しくださいませ。

投稿: korima | 2005.03.17 12:08

藤戸は1度しか見たことがないですが、
前シテがワキに迫るさま、そして後シテの
自らの身を刺す演技がとても印象に残っている
曲です。多久島利之師の演技も見たかったですねぇ。
娘さんの多久島法子さんもとても素敵な舞を
舞われますよ(^^)

ところで。
「トラックバック・ピープル能・狂言」という
ものを作っています。
blogで能や狂言関係の記事を書かれたら
http://member.blogpeople.net/tback/00851
までトラックバックをしていただくと、
参加blogで記事を共有できる、というものです。
良ければご参加くださいね。

http://member.blogpeople.net/TB_People/tbp_851.html

http://member.blogpeople.net/TB_People/index.html
に詳細が書かれています。宣伝失礼しました。

投稿: 柏木ゆげひ | 2005.03.18 19:50

藤戸には、名物の藤戸まんじゅうがあります。
これは岡山名物の、大手饅頭の元になったものだそう。
今だに経木に包まれた、素朴な箱に入った
美味しいおまんじゅうです。一度だけ食べたことがあります。
かつては、本当に、あのお寺まで海だったそう。今ではひなびた田畑の真中とか。
近辺の幼稚園の遠足先と、老いた倉敷出身の母が言ってました。
佐々木という姓が、なぜか倉敷には多いです。

投稿: ふくふく | 2005.05.11 22:11

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» 藤戸寺 [「能楽の淵」管理人日記]
住所:岡山県倉敷市藤戸町藤戸57 『藤戸』という能があります。主人公は備前国児島(現在の岡山県倉敷市児島)に住む名もない漁師とその母です。 源平の藤戸合戦(1184年9月)の時、それぞれの陣が海で隔てられていて、簡単には渡れない状態だったのです。そこで戦功をたてようとする佐々木盛綱という武将は、地元の漁師に高価な品を与え、馬で渡ることのできる浅瀬を教えさせました。 そしてある夜。その漁師と2人だけで陣を抜け出し、実際に渡ってみて検証を済ますと盛綱は「下臈はどこともなき者なれば、また人に語らはれて案内... [続きを読む]

受信: 2005.04.20 10:59

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