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2005.10.22

「吉原御免状」

劇団「新感線」初体験

梅田芸術劇場、昔は梅田コマ劇場
前にここで見たのは「ラ・マンチャの男」だったっけ。

期待しすぎてがっかりしないように、平常心でのぞむ。

若い女性が多いが、自分くらいの半白髪の人もちらほらで
ほっとする。

席は三階、舞台をみおろす感覚はなかなかよい。
前列からは見えない、後方の準備や人の錯綜などがよくみえる。
コマ劇場とはよく言ったもので
舞台が回って場面転換する。
なので幕間はほとんどない。

衣装は豪華、時代劇は目が楽しい。
開幕前にドライアイスが薄く靄っていた。

音楽はロックコンサートのような大音響、
決め所では、綿々とロマンティックに流れる。
付け木の音、ばたばたと景気よく鳴る。
殺陣の音響も同じでいとリズミカル。

殺陣は、こんなに離れて観ていても
かなりの迫力である。
殺陣と踊り(道々のともがらの祭り)が場面転換や、
息継ぎの時間になっている。

主要人物はさておき、こういう踊りや殺陣に出ずっぱりの
人たちがえらいなあと思う。
雰囲気の基礎を作っているのはこの人たちなのだから。


小説は前に読んだことがあるので、あらすじはわかる。
私は時代劇が好きなのだ。

かえって知らないほうがよかったかな?
隆慶一郎の世界、この暗いとはいわないが、
ちょっとクセのあるお話をどうするか、と思って観ていたら、

古田さんの「柳生義仙」対堤くんの「松永誠一郎」との
対決と、マツユキ泰子と堤くんのラブロマンスを
綯い合わせて作ってあった。

マツユキの花魁すがた、はっとするほどきれい。
勝山髷というのがあるくらいだから、
湯女の「勝山」は実在の人物だろう。
そういう史実もうまく取り入れてある。

「高尾」はこれまた有名な花魁の名跡。
京野ことみはけなげでしっかりしてたが、
色っぽさは不足気味。
誠一郎を巡るふたりの花魁、それぞれの愛、が
見せ所らしいが、
私が気に入ったのは、予言する少女「おしゃぶ」だ。
彼女は未来の女だから。
大人になった彼女が誠一郎の“運命の女”らしい。

DVDで気に入った
橋本じゅんの「宗冬」役。
落ち着いた声が印象的だ。
ギャグのない役でも、抑えの効いた演技で
大満足。足を運んだかいがあった。

古田さんの「義仙」が憎らしすぎて
単純な男になってしまったのが惜しい。

堤くんはもともと単純な感じだから、
聖なる愚者(で滅法強い)は似合ってるが、
勝山に惚れたところがもひとつわからない。
これは遠すぎて表情が見えないことにも原因がある。
悲しい場面では切ない顔の「はず」なのだけど。

今回は好きなワキキャラがいなかった。
原作があるせいと、笑い(ギャグ)を入れなかったためだろう。
いままでは、ワキキャラの台詞に、とても感動したのに。
(※「アテルイ」のエボシ)
ちょっと力が入りすぎたかな…作者。

照明や音響、装置を目で見られたのは楽しかった。
DVDでも目減りしない、稀有な劇団かもしれない。
遠くからでも近くでも見どころがたくさんあるから。


「いのうえ歌舞伎」ってすごい。
テンポが速いのが小気味いい。
それと、役者の色気って、ほんとに大事だ。

マツユキは舞台がこれで二度目だそうで、
これからもっと綺麗に色っぽくなるのだろう。

カーテンコールは五回…か六回。
拍手するのは楽しかった。
最後のこの拍手もこみで、“観た”ということになる。
パンフレットは二千七百円でかなり高価だが、
写真がすごく、装丁も凝りに凝っていて、みて楽しい。
これでDVD見れば、細かな表情までわかるし。

そのパンフレットに
作者の隆慶一郎は、網野善彦の史学にずいぶん傾倒していたそうだ。
「道々のともがら」は、農民中心の今までの歴史に対する
新しい見かたそ示しているもので、

それを取り入れてこの「吉原御免状」も書かれているとのことだ。
だから、筋道がきっぱりと通っているのだろう。
(後水尾天皇の落とし胤、には驚いたが)
恋物語が少々未消化に感じられたのはそのせいか。

いや、三時間、よい夢をみた。
次の公演に期待しよう。
「メタル・マクベス」
今度はシェークスピアだ。

※ 松永誠一郎=堤真一 柳生義仙=古田新太 
  柳生宗冬=橋本じゅん 高尾大夫=京野ことみ
  八百比丘尼=高田聖子 遊女勝山=松雪泰子 
  幻斎老人=藤村俊二 水野十郎左衛門=梶原善 ほか

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コメント

こんにちわ。
コメントありがとうございます。
いえいえ、とても良いレビューだと思います。

文章もしっかりしてますし。

素晴らしいですよ☆

僕も、皆さんがレビュー書きたくなるものを作って行きたいです。

今後ともよろしくお願いします♪

投稿: kei | 2005.10.23 21:28

訪ねていただき、ありがとうございます。

わたしもまたお伺いいたします。
観る機会は少ないですが、
ひとつひとつを大切に
記憶の中に置いておきたいと思っています。

投稿: korima | 2005.11.02 20:33

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演劇界の中心で、劇団名を叫んでみる? ばんわ♪フリーの演出・脚本家keiです☆余禄さんに明日まで公演中の劇団☆新感線『吉原御免状』のレビューが書かれていまし [続きを読む]

受信: 2005.10.22 23:30

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