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2005.10.01

淵と瀬「能楽特別鑑賞会」

品川駅が気に入っている。
駅のサイズが京都駅と同じくらい、
人通りも予想できる程度。
ひとには容量というものがあるらしい。
このくらいなら、おのぼりさんした私にも
空間の把握ができる。

今回の目標は渋谷の「観世能楽堂」である。
地図を見ても徒歩で行き着く自信がなく、
やむなく駅からはタクシーで。

やたら朝早くの電車に乗ったのは、今回の
「国家指定芸能 能楽 特別鑑賞会」という
長ったらしい名前の催しが『自由席』だったからである。

はるばる観に行くのに、一番後ろの席ではさびしい。
せめて一時間前には着きたい、と時間の計算をしているうち、
どんどん予定は早くなり、12時開場なのに、
一時間半も前に着いてしまった。

そのときで既に20人待ち。

たまたま他の公演で知り合いになった人に出会い
運良く2列目に席が取れた。
いつもは、装束の模様も、面の目鼻も見えないと
嘆いていた私にとって、願っても無い前の席だ。
舞台全体を見渡すには、もうすこし後ろのほうがいいのだが、
それではなにもかもぼんやりしてしまうので。

五流派がすべて集まるこの催し。
滅多に無い機会だから、なるべく色々観たいとは思う。
しかし、5時間座るのは、腰を痛めている私には無理だ。

おそるおそる観たのは次の演目

※【金春流】本田光洋さんの仕舞 「養老」
なかなかてきぱきとリズム感溢れる仕舞。
腕の角度や扇の返し方の速さが、観世流とは随分違ってみえた。
「養老」の曲ははじめてである。なじみがないのが残念だ。


※【宝生流】近藤乾之助さんの仕舞「忠度」
「忠度」は好きな話である。
近藤さんはしばらく病気されていたとか。

声も小さいし、動きも緩やかだ。
だが、清らかで雅やかな、歌人「忠度」を思わせる。
気品のある舞だった。

年を取られてしまったと友人が嘆いたが
昔はさぞ美しく舞われたであろうと思われる人の、
いまでも香りの残る舞は爽やかだった

※【観世流】野村四郎さんの能 「安宅」
はじめて四郎さんのお能を観た。
黒い衣も似合っていて、これこそ弁慶、という
楷書の安宅だった。
同山の衆が、関守に詰め寄るくだりの、熱っぽさ、力強さは
迫力があったし、
どの型も、きっちりしっかり、杯を受ける弁慶の姿もどっしり。

謡は観世流、すらすらと耳に入る。
気に入ったのはワキの富樫。
村瀬さんとおっしゃるかた。

不思議な声の持ち主で、倍音が聞こえる。
強い目鼻立ちなのに、なぜか物静かな「富樫」にみえる。
出すぎず、引きすぎず、とても自然にやりとりが流れる。

アイは山本家(則直さん、則利さん)で、
ところどころ語尾があがる特徴のある語りを楽しんで聞いた。

【喜多流】友枝昭世さんの能 「羽衣」(別記)

【金剛流】金剛永謹さんの一調「鐘の段」
調子がよくなかったので、会場の外に居た。

残り一番の能、【宝生流】高橋章さんの「綾鼓」は割愛。
急いで帰る。

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