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2006.01.05

謡初式

「謡初め」が行われる。
私が行くのは今年で三回目。
仕舞と舞囃子が出るが、
年ごとに見ているこちらの気持が変わっていくのがよくわかる。

最初は、黒紋付の能楽師さんの大集合に驚き、
どなたがどなたやら、見分けもつかず、
謡の詞章はわからず、
あらあら、と思っている間に終わった。

次の年は、ただもう感心して仕舞を見、
お囃子を聞いていたっけ。

今年は、たいそう面白かった。
少し詞章が聞き分けられるようになった。
すると、なんとなく情景が浮かんできたりする。
仕舞の型も簡単なものはそれとわかるようになった。
プロのあまりの上手さに、うっとりとため息をつく。

見所は正面がほぼ満席である以外、
脇正面も中正面もじゅうぶん余裕があった。。
前日までの寒さが緩み
冬晴れとなったのにな。

最後は全員が舞台に上り、「四海波」が謡われる。
みんなちゃんと座る場所があるんだろうか、と
毎年はらはらする。
中正面を向いて並ばれるので、
私の居る脇正面からもよくよく見える。
地響きする“大合唱”で、
洋楽(コーラス)とはまったく違った音の波に
洗われるのが気持がよい。

最寄の平安神宮で、
昼過ぎから奉納能がある。
せっかくだからと、今年もお参りがてら
神宮へ向かう。
すぐに神域で、車も通行止めとなり、
鳥居をくぐると屋台が並び、
うららかな初詣日よりである。

参るのも順番待ちだ。
まだ身動きできないほどではなく、
ちゃんと拍手できるくらいは空いている。
真面目にお賽銭をあげて、「家内安全」(健康)を
お祈りする。

能が奉納される拝殿は、大門を入ってすぐ右にある。
人の流れからは少し離れているが、
「翁」のお囃子が始まると、
わらわらと人が集まってきて、
畳敷きの内殿(というのかしら)に入って見ることもできるし、
外からのぞきこんでもよい。
ただ、中が薄暗いので、目をこらさないとよく見えない。
中ですわると、こちらは人々の頭で、
上半身しか見えない…と難しい選択を迫られる。

日の当たる場所で体を温めつつ、外から「翁」と
仕舞を観る。
片山清司さんの「羽衣」が紋付袴すがたであるのに、
まるで装束付けたお能をみているように美しく、
羽衣をまとった天女にみえた。
おぼろな光のなかに天女が昇天する姿がたしかに見え、
寒さも眠さもあっさり吹き飛んだ。

日が翳らないうちに帰途に着く。
明日のために体力を残しておかなければ。
元旦の朝から出かけるのは、ちょっと気ぜわしいけれど、
きりっと爽やかな正月気分になれるのがよろしい。


京都観世会「謡初式」
平成十八年一月一日(祝)午前十時半

舞囃子
  高砂:片山 九郎右衛門

仕舞
  吉野天人:片山 慶次郎
  小鍛治(キリ):片山 清司

舞囃子
  羽衣:井上 裕久

仕舞
  養老:河村 禎二
  田村(クセ):杉浦 元三郎
  草子洗小町:浦田 保利
  国栖(キリ):林 喜右衛門

狂言小舞
  土車:茂山 良暢

舞囃子
  猩々:大江 又三郎

祝言
  四海波:全 員

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