« 春のはじめの「梅の宮」 | トップページ | 東に帰る名残りかな…「湯谷」 »

2006.03.30

まつとしきかば…TTRライブ能

今年度最後のTTRの催しがあった。
場所はいつもの本町Mitteホール。
案内状には書いてなかったが、
レストランもホールも改装されていた。

以前はすり鉢状に客席が作られていて
演者さんは下のスペースで演奏されるので見やすかったが、
新しいホールは教会風の彫刻付きいすが左右に並んでいる。
真ん中の通路(ここは結婚式が出来るスペースのようだが、
そうすると、この通路はバージン・ロードかな)
がやや広めになっている。
正面の壇(舞台)はかなり低かったらしく
その上にさらに舞台を作ってあった。

舞台の後ろは乳白色の壁(ガラスだろうか)になっていて
モビールのような破片がきらきら、ぴかぴか光る。
きらめきが目に入るときがあって、ほんのちょっと
気が逸れる。

座席は傾斜がまったくないので、
後ろの方だと、かなり見にくい。
お囃子は音だから、といっても
演じる人の顔も手元も見えないのはいささか苦しい。

小鼓一調「女郎花」から始まる。
ずいぶん音がよく響くホールだ。
謡は味方玄さんおひとり。
とても見事な謡である。
ひとりだから、と気合いが入りすぎるわけでもなく
弱くもなく、絶妙の安定感である。

大鼓一調「景清」
こちらもよく鳴って余韻が驚くほど長い。

メインの「松風」解説を成田さんと山本さんでなさる。
ごく普通の会話がうまい掛け合いになっていて
会場の空気がほのぼのする。
これがコンビの妙だろう。

笛のゲストはいつもどおりの竹市さん。
力強い笛が、きょうは演目に合わせてか、
ほのかな情感がこもっている。

味方さんの京都なまりの解説もとても手慣れておられる。
「京雛」の男びなのような清々しさ、
すらりとした背中のラインはみごとにうつくしい。
「松風という能はまずモノトーンの風景から
はじまるとおもてください」とおっしゃる。

汐汲みの姉妹の登場から
昔この地に流されてきた貴人在原行平の話にうつって、
松風の哀しみと狂乱が目の前に見えてくるかのようだった。

謡と絡みつつもじゃましないお囃子があるのだ。
大きく鳴っても響きの美しい大鼓と
力があってもでしゃばらない小鼓、
またさびさびとした音色であしらわれる笛。

すべてが姉妹の悲哀と
もの寂しい須磨の浦の風景をあらわして
何の過不足もなく収まった。
紅無の唐織りのように。

「TTRライブ能inMitte」
  能の音楽 『かけ声の秘密』
平成18年3月24日(金) 19時~20時
 1 小鼓一調  「女郎花」
 2 大鼓一調  「景清」
 3 居囃子   「松風 前」
 4 居囃子   「松風 後」
   TTR能プロジェクト  成田 達志 (小鼓方 幸流)
          ゲスト   山本 哲也 (大鼓方 大倉流)
               味方 玄  (シテ方 観世流)
               竹市 学  (笛方  藤田流)              

|

« 春のはじめの「梅の宮」 | トップページ | 東に帰る名残りかな…「湯谷」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/78456/9329595

この記事へのトラックバック一覧です: まつとしきかば…TTRライブ能:

« 春のはじめの「梅の宮」 | トップページ | 東に帰る名残りかな…「湯谷」 »