« 江戸の夜 | トップページ | 江戸の蕎麦 »

2006.10.31

秋の夜の舞囃子…TTR公演(於細野ビルヂング)

会場の細野ビル「ヂ」ングは
昭和11年に建ったとのこと。
石作り風の外観からして古い。
地下鉄西長堀駅、
心斎橋からここまで西に来ると、
道は広く、ビルはまばらである。

しかし近くに
喫茶店もレストランもない。
あるのはコンビニだけだ。
とにかく地理が分からず不安なので
早く着きすぎ、開演まで二階の個展会場で
絵を見ながら時間待ちする。
女性を描いたイラスト風の絵は力強い。

一階のカウンターの後ろのスペースが
きょうのライブの会場である。
大きな円い柱が、丁度角のあたりに
どかんと立っていて
客席は正面と地裏側の二方向しかない。

三列ほどの椅子席と
その前にこぶりの座布団を置いた席と二通りである。
早く来たおかげだ。
椅子のほうが楽なのだけれど、
ままよ、一時間半なら保つだろう、と
座布団席の最前列に座る。


舞台の部分には
赤い毛氈(じゅうたんかな)が敷かれている。
ほんとに近いので、
顔を上げるのが恥ずかしくて俯いていると
演者さんの袴と足袋が目の前を過ぎてゆく。

この日の番組は舞囃子がふたつと
半能がひとつ。それと素囃子だ。
TTRと、いつものお囃子のメンバーに
シテ方が三人加わって皆が登場されると狭いくらい。
客席も満員で立っている人も居る。

このビルの音響はどうだろう。
古いからあまりよく響かないんじゃないかしら、
始まる前はすこし心配だったが、
お囃子が始まると、そんな思いは吹っ飛んだ。

力強い大小の鼓、
美しくうねる笛の音。
熱っぽい太鼓がリズムを刻む。
きょうは休憩までノンストップで、解説がない。
プログラムをはじめにちゃんと
読んでおかなかったので
そうっと音を立てないようにページを広げて
演目を確かめる。

「高砂」を舞われたのは
浦田保親さんで、はやくて切れがよかった。
「神楽」は何度か聞いたので、
気持ちよくお囃子の流れにノルことができた。

居囃子の「砧」はまだきちんと見たことのない
演目なので、話が分かりづらかった。
そうなると正座の膝に
床の固さが伝わってきてじりじりと痛み出す。

休憩のときは立ち上がって
足や腰をストレッチして後半に備える。

さて後半は
杉浦豊彦さんがしっとりと「野宮」をなさった。
紋付き袴姿の舞囃子、
姿勢の美しさが際だつ。
仕舞もよいが、お囃子の入る舞囃子は
もっと楽しい。

最後は浦田さん、寺澤さんお二人の「石橋」。
お能では、華やかな牡丹の花で飾られた
一畳台に、登ったり降り立ったりする
獅子の生き生きした舞が
めでたい感じがするのだが、
舞囃子でもそのめでたさ、はつらつさに
変わりはなかった。

親獅子と子獅子が、ぶつかりそうになるほど
狭い空間で、さわやかに舞遊ぶさま、
お囃子の盛り上がりも最高だった。

こういうときにはいくら拍手しても
しすぎることはないと思える。
帰りにはメンバーのお見送りまであって、
毎回楽しみなTTRの催し、
たいてい平日にあるのでとても嬉しい。
「次は十二月」と案内があった。
予定が重ならないようにいまから祈っている。

TTRライブ能in細野ビルヂング
 平成18年10月13日(金)
    午後7時30分開演
プログラム
☆素囃子 「五段次第」
☆連吟  「高砂…初同」
☆舞囃子 「高砂・八段之舞」
☆素囃子 「神楽」
☆居囃子 「砧」
----------休憩-----------
★素囃子 「揉み出し」
★舞囃子 「野宮」
★半能  「石橋」

観世流シテ方
杉浦豊彦 浦田保親 寺澤幸佑

藤田流笛方  竹市 学
金春流太鼓方 上田慎也

TTR能プロジェクト
幸流小鼓方  成田達志
大倉流大鼓方 山本哲也

|

« 江戸の夜 | トップページ | 江戸の蕎麦 »

コメント

かってながら、トラバ及び紹介させていただきました。
ありがとうございます。

投稿: 小暮宣雄 | 2006.11.16 12:07

いえいえ、
少しでも雰囲気が伝わってましたらよろしいのですが。
TTRの催しは大好きでございます。

投稿: korima | 2006.11.17 21:51

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/78456/12506175

この記事へのトラックバック一覧です: 秋の夜の舞囃子…TTR公演(於細野ビルヂング):

» 木々にクモの巣がいっぱいかかっていつもと風景のちがう霧の朝であった [こぐれ日乗 鑑賞のつれづれ 文化政策とアーツマさんいらっしゃい]
11/13(金) 霧が出ていた。 木々にクモの巣がいっぱいかかっていて、黄色と赤のクモがまんなかにじんどっていた。 いっせいにクモが店を開いている。霧だとお客さんがいっぱいひっかかるからだろうか。 1限目。限界芸術論の古典には入らないままだった。 高校。観光について話した。オールタナティブ・ツーリズム。抽象的だったかも知れない。ホスピタリティとユニバーサル・デザイン。ユニバーサル・デザインを中心にしてもっと具体的にしたらより理解がすすんだかも知れない。 11/3に山口に行き、メデ... [続きを読む]

受信: 2006.11.16 12:04

« 江戸の夜 | トップページ | 江戸の蕎麦 »