« 長~い長~いタイトル | トップページ | 岩洩る水の…「たまかづら」 »

2007.08.09

レ・ミゼラブル(ああ!無情)

むかし聞いたことがある。
「今日は帝劇、明日は三越」
順番は反対だったかもしれないが
銀座といえば、こどものころは憧れの地名だった。
その帝劇に行くべし、ということになり
同じ泊まるならいっそ
「帝国ホテル」に泊まってやろう、とまことに
無謀な旅とあいなった。

地図で調べると歩いても大丈夫な距離、
道もわかりやすそう、
それでは一泊朝食付きを申し込む。
もちろん旅行社の目玉ツアーである。

その帝劇
山手線有楽町駅から徒歩五分、
入り口から皇居のお濠が見える。
入ってみるとホールはけっこう狭い。
ロビーの片隅に菊田一夫の胸像があり
わたしにはやたら懐かしいのだが
若いひとたちは知らないだろう。
ラジオの「君の名は」をうっすら覚えている世代だから。

一階も二階もきっちり満員である。
若い人と年配者と半分づつくらいの客層。
ミュージカルは何度目かな、あまり得手ではないので
かえって気楽にみられそうだ。
古い劇場のせいで座席も小さく通路も狭い。
偶然通路側の席でよかった。

二階ながら舞台が全部見渡せるほぼ正面の席。
舞台はそれほど幅広くない。
場面転換は回り舞台を使ってすばやく行われる。

全編音楽劇
地のセリフが無い。
それが意外に聞きやすい。
生オーケストラで
アリアが歌い上げられると拍手、という流れ
慣れるとなかなか楽しい。

原作の「レ・ミゼラブル」は
少年少女向きのものなら、読んだことがある。
それで分かるかしら、と心配したが
筋書きはほぼそのとおりで特に前半はまったく問題なし。

「たった一斤のパン」を盗んだだけで罪に問われ
出所しても差別されるジャン・バルジャン
実のない男にだまされて転落するファンチーヌ
強欲なテナルディエ夫婦にこき使われるコゼット

若々しいバルジャン(橋本さとし)の歌に感心し、
ジャベールも若いなあ、と
あれこれ品定めしながら見る。

ミュージカルはコーラスと違って
(たぶんオペラとも違ってるだろうな)
きっちり音程と音色を揃えなくていいようだ。
色んな声があり
「うまい」かどうかより
劇の雰囲気にぴったりしているかどうからしい。
メロディはわかりやすく
何度かきけば歌えるかもしれない、と思われた。

休憩時間はたっぷりでおおいに助かる。
一階に下りて満員のひとをかきわけて
「ミュリエル司教の部屋」のセットを見に行く。
また、出演者の色紙が柱に貼ってある。
こちらは携帯電話で写真を撮って保存した。


後半のセットはバリケード
大きな赤旗がひるがえっている。
バルジャンとコゼットが住んでいる修道院と、
このバリケードが交互に前面に出る。
時代背景がおぼろげだから
よく理解できない部分がある。
知ってたらもっと面白いだろう。

青年マリユスはアンジョルラスたちと
このバリケードにたてこもっている。
マリユスがコゼットとであう場面はまるで」
「ロミオとジュリエット」とそっくりだ。
後半の見どころは、二人の恋模様もだが、
勇敢なアンジョルラスや
「弾丸ひろい」をする少年ガヴローシュたちである。
またジャベールは警察のスパイとして登場する。
ガヴローシュ少年に正体を暴かれたジャベールを
バルジャンは「自分が責任を持って“始末”する」と
申し出る。

バルジャンにとっては
「長年の恨みを晴らす好機」だから
殺されるに違いない、と腹をくくるジャベール。
ところがバルジャンは彼を逃がすのだ。
このことで混乱してしまったジャベールは
河(運河かしら)に身を投げて自死するのだ。

テンポよくさくさくと進んでいくので
お話を追うのに精一杯だ。
マリユスに片思いするエポニーヌが可憐。

全体に役者さんが若い。
ジャベールとバルジャンは年を重ねても
ちっとも老けない。(声も)
そのあたりがちょっと
などと、足りない部分を数え上げてしまうけれど
見ているときは愉快で楽しく
アンコールの拍手にも力が入った。

もともと橋本さとしさんを
見るのが目的で来たのだ。
出番も歌も多いし、歌も聞けて充分以上に大満足。

おどろいたのは島田歌穂さんが歌い出した時だ。
彼女が演じるエポニーヌの
切ない思いが二階席までちゃんと伝わってくる。
マリユスに頼まれて、
コゼットに手紙をわたしに行く場面では、
「鈍感男」のマリユス君が嫌いになった。


生の音楽はよかった。
「そこ」で音が鳴っている臨場感は
録音したものを大音量で流すよりはるかによい。
一曲歌い終わるごとに拍手が起こるのにもすぐ慣れた。

終わったあと夜食確保に地下のコンビニへ。
ホテルで何か食べるのは気後れしそうだからだ。
楽屋口がどうもその付近のようで
手に手にパンフを持ったわかい女性がたくさん立っていた。
どこから階段を上がればいいのか通路で迷い
歩いてきた三人組の若いひとに
正面玄関前まで連れて行ってもらう。

宿まで徒歩十分
お濠に沿って歩けばすぐ。
お茶を飲む時間も、長風呂する余裕もある。
終演が遅れてもこの距離だったら大丈夫だ。
すっかり味をしめてしまって、こっそりつぶやく。
今度、泊まりがけでお芝居を観に行くときは
できるだけ劇場の近くに泊まろう。

【日時】2007年7月12日(木)
【会場】帝国劇場


【スタッフ】
作:アラン・ブーブリル/クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
音楽:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
潤色・演出:ジョン・ケアード/トレバー・ナン
指揮:塩田 明弘

【キャスト】
橋本さとし:ジャン・バルジャン
今 拓哉:ジャベール
島田 歌穂:エポニーヌ
シルビア・グラブ:ファンテーヌ
菊池 美香:コゼット
石川 禅:マリウス
駒田 一:テナルディエ
田中 利花:テナルディエの妻
岸 祐二:アンジョルラス
高橋 りか:リトル・コゼット
佐藤 瑠花:リトル・エポニーヌ
横田 剛基:ガブローシュ

伊藤 俊彦:グランデール
清水 裕明:クールフェラック
横田 裕市:ジョリ
近藤 大介:コンプフェール
松原 剛志:フイイ
港 幸樹:司教/レーグル
丹宗 立峰:パベ
藤田 光之:プリジョン
上野 聖太:プルベール
田中 裕悟:モンパルナス
梶 雅人:クラクスー
わたりあずさ:質入れ屋
清水 彩花:マテロット
浅野実奈子:ファクトリーガール
歌納 有里:ジベロット
井上 珠美:マダム
穂積 由香:少年1
吉岡 里奈:少年2
亜久里夏代:かつら屋

|

« 長~い長~いタイトル | トップページ | 岩洩る水の…「たまかづら」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/78456/16057918

この記事へのトラックバック一覧です: レ・ミゼラブル(ああ!無情):

« 長~い長~いタイトル | トップページ | 岩洩る水の…「たまかづら」 »