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2007.12.18

ヘア・スプレー&クワイエットルームにようこそ

映画がいつも千円で見られるようになって、
さあ、どんどん見に行こう、と意気込んでいたが
だからといって毎週とはいかない。
せいぜい月一本、
この記事は先月と先々月に見たぶんである。

ことしと来年はミュージカルの当たり年
(わたしにとって)
夏は「レ・ミゼラブル」を見たし
お正月には「テイク・フライト」
二月には「ベガーズ・オペラ」

「…怪人」や「ネコ」を見ていたころは
はやりものだから、という気分で
でかけたものだったが
「レ・ミゼラブル」に行ったあたりからは
ふつうの芝居と同じ感覚で気楽に楽しめるようになった。

映画「ヘア・スプレー」、これはブロードウェイミュージカル。
舞台を観に行くほどの熱意は無かったが
千円デイにはもってこいなので出かける。

そしてこれが大当たり
イントロからダンスの楽しさがいっぱいだ。
ちびデブちゃん、トレイシーのキュートさが全開で
リズムとメロディは六十年代の懐かしいもの。

時期的にはわたしの子供時代である。
アメリカのホームドラマやショー番組、
西部劇にオールデイズ、たくさん見たっけ。
懐かしいったらありゃしない。

自分のおデブを気にせずに、
明るく前向きなトレイシーの姿に
不器用なパパも、太りすぎで自己嫌悪のママも
(ママ役があのジョン・トラボルタである。
女装して肉襦袢着てても存在感がある怪演)

ダンスとミス○○選出のエピソードだけなら、
ほんに青春ものなのだが
アメリカ映画の底力、なのかな、
しっかり時代の流れをつかまえている。
「黒人差別問題」
今では当然の権利が、むかしは一切許されていなかったことを、
さらりと描いてあるのがすごいところ。

デモに参加するトレイシーは
難しいことなんて何にも言わず、
「だって友だちだもん」と、にこにこ笑って歩いてる。
その自然さがすてきです。
ドタバタと喜劇仕立ての部分と
この真面目さが相補って、
見た後の爽やかさの底にしっかりと苦味がベースになっている。

いま、現実のニュースを見ていて
萎えてしまいそうな「希望をもつ」気持ちを
しっかり支えてくれる映画だった。
ちなみに、サントラは入手、DVDも多分購入予定。


もう一本
松尾スズキ監督作品
「クワイエット・ルームにようこそ」
「静かな部屋」とは精神病院の隔離室のことである。

「大人計画」の芝居、見たのはDVD「キレイ」のみだが
映画「ユメ十夜」でスズキ氏の短編をみた。

“いまどき”を描いたこの映画、
風景や背景より、人物像に焦点が当たっている。
セリフが時々どきっとするほど切ない。
主演は内田有紀
年を重ねてほどよい感じ、といっても
わたしはこの人のドラマをあまり見たことがないのだけれど。
スタイルもいいし声もきれいだ。

脇役陣では、主人公の同棲相手の
しょぼくれた構成作家がとてもいい。
(演じるのは宮藤官九郎)
気弱でつまらぬ男にみえるが
じつは主人公のことをよくよく理解している。

手違いから入院することになった彼女が
数日の間にそこで出会ったことがらと人々を描いている。
患者や関係者に、
大竹しのぶ、蒼井優、妻夫木聡、りょう、など
豪華な役者をたっぷり使っている。
くっきりと陰影があって派手な色彩は、以前映画でみた
松尾スズキの世界とおなじだ。

おどろおどろしい雰囲気で始まるが
最後には主人公は、彼氏とも別れてひとりで退院する。
ラストシーンは
それまでの陰にこもった院内の風景をぬぐいさるように

自転車で疾走する患者(いい味わい・筒井真理子)
と、それを車中からみかける主人公の明るいまなざしが
みているこちらをほっとさせる。
旅は暗く深かったね、とねぎらいたくなった。

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