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2007.12.29

「椿三十郎」…いまふう時代ドラマ

リメイク流行りのこのごろである。
わたしが若いときの
映画や音楽が
キャストや歌い手を変えて
上映されたり街に流れたりしている。

たとえば「三丁目の夕日」、テレビドラマ「点と線」
子供の頃の風景は懐かしく
違いをみつけてひそかによろこんでみたりする。
知らないこともあるけれど
テレビがなかった昔だから、空白になっている部分に
こうだよ、と差し出される映像は新鮮だ。

超大作と評判の高い
「椿三十郎」を見る。
出演者が気に入っているのと、
監督が森田芳光であること。
どちらかと言えば、年の近い監督が、どんな風に
名作を作り直すのかが興味あるところだ。

そして決定的なのが
「台詞は原作のまま」だということ。
黒沢監督のそれは、リバイバルで見た。
音声がよくなく、会話がよく聞き取れなかったからだ。

面白かったのが客層。
わたしの両隣は、ほぼ同年代の男性がひとりで来ていた。
カップルもちらほらだが全員シルバー世代、
明るくなってからわかったのだけど、
若い人は二人か三人だった。
ほぼ八割の入りだったのに、である。

ロビーには家族連れも若いカップルもあらゆる年代が
揃っていたので、
この映画は「団塊世代」向けなのかな、と思った。
しかしそれでは大ヒットにならないじゃないか、とも。

原作が山本周五郎である。
今回のほうがコメディタッチだから原作に近い。
主役はまったく違うタイプだから
比べる気もないが、織田裕二はけっこう喜劇が似合う。
なんとなく勘違いな雰囲気がそう見えるのだろう。

ちっとも強そうではないが、めげずに明るくていい。
時々「踊る…」の青島刑事風の顔になってしまう。
その顔とセリフが合わないときがしばしばある。

で、わたしはセットの出来やカメラワークを
自分なりに楽しんだ。
若侍役の若手俳優の立ち居振る舞いが
様になっていたので感心し、
中村玉緒の奥方がとぼけてていいなあ、と笑いしていた。

「間宮兄弟」のときと同じで
穏やかななかに細やかな神経が行き届いていて
なかなかに素敵な風情がある。
椿の花はみっしりと咲き、
登場人物の着物はいつもぱりっとしている。
総じて、古風だが時代劇「風」になっているところが
新し味かもしれない。

ライバル役の豊川悦史、
前作の仲代達也が、ものすごく印象的な悪役だったので
どんなに激しいかと思えば、
飄々とした感じなど、織田よりよほど三十郎の雰囲気が出ていた。
仲代はぎょろりとした目が精悍だったが
もっと知的な狡い感じに作っているのがよかった。
着物も彼はよく似合うのだ。

その割には悪役の三人組が軽くて物足りなかったが
中では西岡徳馬が、むかしの東映時代劇に出てきそうな
太い眉にくっきりした目張りで似合っていた。

楽しめる娯楽作品に仕上がっていたと思うが
「HERO」に比べれば
ずいぶんと興業収入は少ないそうだ。
リメイクよりお洒落な現代もののほうが成績が
あがるのかな。

台詞の間合いがゆったりしているのが
とても心地よく、時代劇だから風景がたっぷりで
目もちかちかしないし、
五十代以上なら楽しめる、と思うのだが。

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