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2008.03.25

二週続けて落語漬け

落語のレポは書きにくい。
個人芸だからだろうな。
好きなひとの噺は何度聞いても面白かろう。
ただいまは、
「誰が好き」なのか手探りのさいちゅうである。

天満天神繁昌亭は二度目。
開演前にお参りに行く。
天満宮には梅の香が、
香りを吸い込んで手を合わせ、
それからおもむろに寄席の戸をくぐる。

チケットを取るのが一苦労だった催し。
「桂吉弥のお仕事です」…
名付けて“ちりとてちん寄席”
あっと言う間に完売したそうな。

ここ最近しばしば落語会に行っているが
一番客層が若くて女性が多い。
N○Kの朝ドラ効果はいよいよ増してるようだ。

二番手が万葉亭柳眉(字が違うかも)役の
桂よね吉、わたしはこの人、“かなり”お気に入りである。
じみな顔立ちにじみな銀ねずの着物がよく似合う。
芝居噺が得意で、本日の演し物は「七段目」。
上方演芸大賞新人賞を取ったときもこの噺だった気がする。
斜に構えたマクラが、ぴりっと効いている。

プログラムによると、次は染丸師匠のはずなのだが
めくりが消えている。
客席がざわめく中に登場したのは
徒然亭四草こと加藤虎ノ介

みんな大喜びである。
(もちろん私も拍手喝采)
テレビより洒脱な感じの関西風巻き舌で
“そつなく”と言って良いだろう、
短い噺だがじゅうぶんに聴き応えがあった。


中入り前の染丸師匠
テレビと同じ声、同じ顔。
華やかで楽しく親しみやすい声。
笑わせところはたいそう上手く、
引き付けてぱっと離すと、どどっと笑いがあがる。
私たちはすっかり「鵜」と化して
染丸師匠の手の上で笑い転げた。

確かにどこかで聞いた噺だが題名がわからない。
拗ねる旦那がおかしく、
迷惑ながらも浄瑠璃を聞きに来る
長屋の連中の右往左往も目に見えるようだ。
同じ噺でも演じるひとによって
たいそう受ける感じが違うのは、お能とおなじ。


短い休憩の後にもめくりが出ていなかった。
もう観る方も解っていて
今度は誰が、と見守るうちに
しずしずと徒然亭草々=青木崇彦の登場

「おおっ、今度は草々兄さんや」
「背(せい)が高いなぁ」
「今日来てよかった~」
周りの中年以上の女性客(わたしも含め)は
しゃべりながらしっかり手を叩く。

スタイルがいいなあとしみじみ。
顔がずいぶん上にある。
しかしこれでは落語会というよりも
まるで「スタジオ・パーク」のちりとてちん特集だ。


トリは吉弥さん
役者の顔と落語家の顔
どちらも明るく真面目でとっても陽気。
わたしが気に入っているのが彼の手。
ふっくらして感じよく表情豊か…手も顔と同じだ。

「ちりとてちん」でしょっちゅう出てくる
(草若師匠の十八番)「愛宕山」である。
賑々しく、ほんとに楽しそう。
最後には徒然亭一門のあとふたり、
小草若=茂山宗彦と、小草々=辻本くんも登場し、
大拍手の中での幕切れで、
落語じゃなくってお芝居みたいだった。

ハネて出るとひとだかり。
吉弥さんがお見送りしてくださる。
サインを貰う人、一緒に写真を撮る人など、
たくさんのひとたちが居残っていた。

この催し、たいそう話題になったようで
少したってから新聞に好意溢れた評が載った。

2008年3月6日(木)天満天神繁昌亭
       午後6時半始め
○ 桂  二乗   「牛ほめ」
○ 桂  よね吉  「七段目」

   徒然亭四草  「つる」
○ 林家 染丸   「寝床」

     中入り
   徒然亭草々  「道具屋」
○ 桂  吉弥   「愛宕山」

次の週、今度は地元の「市民寄席」へ
こちらは長年続いているが、でかけたのは、
今回がはじめてである。
兄弟分に当たる「市民狂言」には度々足を運んだけれど。


古い小学校を改装して作られた芸術センター
会場は「大広間」であると聞き
ひょっとして畳敷きかいなと心配したが
椅子だったのでやれうれし。

あいにくの雨、チケットは完売だが
座席はところどころ空席がある。

ここはいつもの落語会の風景。
年齢層がたかく男性客が目立つ。
男女比は半々くらいだろう。


年に数回づつの催しだが
こういうものは続けてほしい。
もちろん「市民狂言」もね。
予算削減の話がニュースになるたびに心配になるのだ。
隣の県では「お笑い」の展示施設が
補助を打ち切られるかも、と盛んに報道されているし。

落語家のメンバー、年配者が多い。
よね吉さんが一番手で最年少。
繁昌亭ではじみにみえたのに
ここでは声も大きくよく張っていて
若さ溢れるトップバッター振りだ。

演じる「米揚げ笊」ははじめて聞く。
久しぶりに演じる噺のせいかやや硬さがある。


どの噺家もそれなりに
面白おかしい話ぶり。
無理に笑わせようというところが見えないので
かえって気楽に笑える。

順が進む毎に
噺家が年よりになっていく。
自分との年の差が狭まってくるにつれて
噺が面白くなってゆく。


トリの松枝は「三十石」を語った。
いま住んでいる地の近くの噺なので
つい身が入り楽しさ数倍。


淀川をゆく船はもうとっくに無い。
港の後はすでに「史蹟」だが
せめて噺の中だけでも
のんびりと川を下ってみたいものだ。

適度な脱線とくすぐりがあり、
米朝一門とやや違ってそれも新鮮だった。


『市民寄席』第289回
  3月14日(金)午後7時開演
  会場:京都芸術センター

○桂   よね吉  「米揚げ笊(いかき)」
○林家  染二   「八五郎坊主」
○笑福亭 小つる  「へっつい盗人」
○笑福亭 松枝   「三十石」

※ 一気に四席、できれば休憩が欲しい

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