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2008.04.04

大原散策

高野川に沿って走る京都バスの
乗客はほとんど最終の大原まで。
春のシーズン直前、平日を選んでよかった。、
なんとか座れたもの。

ターミナルから三十分、
思っていたより近いのだ。
途中八瀬から大原の里に入る手前で
しばらく人家がなくなり
バスは山と山の間を縫って走る。
比叡から続くやまなみが
おおい被さってくるようである。


小綺麗なバスプールで地図を貰い
まず三千院方面をめざす。
ずっと昔に一度きたはずだがすっかり忘れている。

右手に流れる渓流に沿ってずっとゆるい上り坂である。
左側には土産物屋が並ぶ。
このパターンは貴船でもそうだった、と
ちらちらと見ながら歩く。
ほとんどの店が「柴漬け」を置いている。
さすが大原…。

少し開けた場所に立て札、
三千院方面、へ石段を上がると
門前にずらりと土産物店が並ぶ。
柴漬け屋だけではない。
甘味屋、八つ橋店などなど、食事もお土産も
一通りここで全部間に合う。

三千院は後回しにして
まずいちばん遠い勝林院へ。(と言っても徒歩五分)
朱塗りの橋がかかった小さな川を渡るとすぐ。
拝観料は三百円、事務所には誰もいなくて
入り口に置いてある鉢に入れる。

境内は静かで広々。
本殿は古いが均整がとれていて、
階の下にスリッパ入れが…。
何でもセルフなのが微笑ましい。
ほとけさまは耳が長くて大きく笑っているようにみえた。

ここはあと池の横に鐘楼があるだけ。
だからかな、観光客も少なくて貸し切り状態。
ボタンを押すと“声明”のテープが流れる仕組み。
終わるまで段に腰掛けてひとりでゆっくりと聴く。

次に訪れたのは実光院。
ちょうど勝林院と三千院の間にある。
玄関に銅鑼があって、
「拝観の方は敲いてください」と書いてある。
こちらは拝観料六百円也、おうすとお菓子付き。


お寺のひとがやさしげで丁寧である。
こじんまりと整って
手入れが行き届いたお庭である。


南側にあるもうひとつの庭は庭用の履物で下りる。
こちらは茶花がたくさん植えられていて
写真好きには嬉しいことだ。

実光院の向いには
後鳥羽天皇と、順徳天皇の御陵があった。
流離の地からこの大原へと没後に戻ってみえたのか。
しかしここも都からは隔たったさびれた場所であるが。


最後に本命の三千院。
昔来たときには、すてきなお寺だと思ったのだけれど、
年取ったいまはそれほどの感動は無かった。

ほかのお寺より一段高いところに門がある。
建物は広くて立派、展示など行き届いている。
お庭は、まっすぐ伸びた樹々の作る
縦のラインがみごとだ。
ご本尊はふくよかで、脇侍のみほとけが二体とも
正座なさっているのが珍しいそうな。
庭もひろびろで観光の人も格段に多い。

花の季節にはすこしだけ早いせいで
お庭はあっさりとしていた。
小さな石仏が庭の隅にあったり、
小高い丘に弁財天が祀ってあったり
見どころがたくさんすぎて
三分の二回ったところでくたびれ
奥の院はパスする。
こういうところで普段の体力が物を言うのだな、と
先に立たない後悔をしながら道をくだる。

バス停に戻って時刻を見る。
寂光院へ往復しても小一時間、とパンフレットにあったので
気を取り直し、水分も補給して
先ほどとは反対側へ歩き出す。

川を渡ってしばらくは平地である。
日はうららかでいつか日本画で見た風景のようだ。
見晴るかすと山が段々に重なっていて
遠くなるに従って少しづつ色合いが薄くなる。

田や畑で土起こしが始められ、
道は舗装されているが、土の匂いがする。
懐かしい匂いだ。
都会では当たり前な“マンション”は
目の届く辺りには、ない。
代わりに昔の農家風の作りの家が目立つ。


道は丘の裾を巻いてうねって上へと続いている。
寂光院に近づくと、
小綺麗な土産物店や温泉や料理屋が、
三千院付近と同じく並び始めるが、
ずっと規模は小さい。

そうして着いたお寺はとても小さい。
裏にはまた別の山がすぐ傍まで迫っている。

先年、火災で本堂が焼け、
いま建つのは再建されたものできらきらと真新しい。
中に鎮座しておられる仏さまも
煙に燻されていずに色白である。


本堂の前の池も小さく、
みぎわの桜(何代目だろう)も若い。
ひときわ目立つのが立ち枯れた樹。
どのくらいの樹齢なのだろう。


建礼門院の御陵はお寺のすぐ脇で長い石段が。
お寺を通り過ぎて山道を行けば、鞍馬に通じるとか。
後白河法皇はその道をたどり、
ここ寂光院に御幸なったそうな、とは
寺のひとの話である。
しばらくは、「大原御幸」を思いつつ池の周りを巡る。

庵の跡はお寺の後がわを
少し山側に踏み込んだ道沿いにある。
石碑が静かに立っている。
観光客はここまで来ず
日は裏山の向こうがわに入り
あたりはひっそりと湿っていた。

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